書を食む六畳間

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ターン

[小説][サスペンス]

北村薫の「時と人」三部作のひとつ「ターン」(他スキップとリセット)

ターン 新潮社

ターン (新潮文庫)

ターン (新潮文庫)

森真希の運転する車はセンターラインをオーバーしたトラックと正面衝突する。
気がつくと自宅のチェアーで今しがた目覚めたかのよう。家の様子は事故前と変わらない。

ただ目覚めた世界は誰一人いなかった。建物も見覚えのあるものだが車が走っていない、人のざわつき、鳥さえさえずらない。

自分しかいない、その事以外にわかったことは事故に遭った時間になるとまた自宅のチェアーに戻る。
時計も戻っていた。
この世界では何かを成し遂げようにも元に戻る。

幾度も繰り返した。

孤独に泣く真希。

そこに一本の電話が鳴る。

北村薫と言えば円紫さんシリーズも考えたが個人的にタイムトラベルものが好きなのでこちらを紹介する。

彼の著作は作品全体に優しさが包む。非常に丁寧に語られることから女性と間違われるが北村薫は男性作家だ。

誰もいないはずの世界に電話。電話主は泉洋平、真希は版画教室の講師で作品を使わせてほしいという仕事の電話だった。

泉の話しを聞くと泉の世界では真希は意識不明で病院で寝ているとのこと。どうやらそれぞれの世界に真希は存在しているようだった。

現実世界と繋がるこの電話は救いだ。

人も動物もいない、車も走らず喧騒もない音のない世界。

電話以外にいつもと違ったことがあった。

一台の車が走っていった。

ここまでにしておこう。
脱出の手掛かりとなる電話はあったがあの車に乗るのば誰か?なぜだろうか、当時読んでいて車が走ってることに「えっ」と真希と同じ感覚を覚えた。

基本優しい文で語られるが殺伐とした展開も後半少しある。

これは映画化もされる。生憎と未視聴だがキャストはすごい。

ハートウォームになる。